キナリザリンによるフッ素の比色定量法
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概要
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陸水中のフッ素はほとんど比色法で定量されているが,Scott法などのように精度の高い方法では,直接測定できるフッ素濃度が1.5mg/l以内にすぎない.このため,フッ素含量1.5mg/<I>l</I>以上のものを含む陸水試料を処理するとき不便なことがあった.<BR>本報ではジルコニウム・キナリザリン化合物を指示薬とする新比色定量法を創設し,陸水に応用するとともに,ほかの方法との比較検討を行なった.<BR>本法は3.5mg/<I>l</I>以内のフッ素を,10m<I>l</I>の試料を用い,希釈することなく0.1mg/<I>l</I>の精度で測定することができる.また共存イオンはFe<SUP>3+</SUP>5.0mg/<I>l</I>,Al<SUP>3+</SUP>0.2mg/<I>l</I>,SO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>40mg/<I>l</I>,PO<SUB>4</SUB><SUP>3-</SUP>0.25mg/<I>l</I>以内なら影響はなく,そのほかのイオンはほとんど無視してもよい.<BR>指示薬は冷暗所に保存すれば,1ヵ月以上安定である.
- 社団法人 日本分析化学会の論文