旋光分散法の応用 : 旋光分散と有機化学
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概要
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近年,著しい発展を遂げた機器分析法のなかで旋光分散(ORD),円偏光二色性(CD)はやや特異な地位を占め,特に有機立体化学の問題解明にすぐれた適用性を示している.たとえば質量スペクトル(MS),紫外線-(UV),赤外線吸収スペクトル(IR)で始められる天然有機化合物の構造研究を例にとると,高分解能核磁気共鳴吸収(NMR)とともに,むしろ研究の後期で重要な役割を果たすことが多い.<BR>分析化学の領域ではUVとの密接な関連から物質の純度決定,異性体の平衡関係の観察などに利用されるが,応用の主体は絶対配置決定や空間配列の研究(conformational analysis)にあり,特に後者のめざましい進展はORD・CDの巧妙な適用に負うところが大であろう.このようなORDの応用に関しては多くの成書,総説が刊行されているが,本稿では基本的な諸問題についてCDと関連づけながら考えてみたい.
- 社団法人 日本分析化学会の論文