次亜塩素酸塩法による臭素定量におけるバラツキの原因
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概要
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多量の塩素共存における臭素の定量法として一般に知られている次亜塩素酸酸化法を用いて,塩化カリウム,塩酸などの中の臭素を定量したところ,その定量値にかなりのバラツキを生じた.バラツキの原因と思われる要因として,酸化加熱時間,加熱時の還流コンデンサーの有無,鉄の共存,過剰の次亜塩素酸塩を分解する際の加熱,次亜塩素酸ナトリウム液の経日変化をあげ,直交配列表を用いた一部実施法により各要因の影響を統計的に解析した.その結果酸化加熱時間は沸騰後,さらに10分間の加熱が必要で,この際還流コンデンサーをつける必要があること,次亜塩素酸ナトリウム液はなるべく新しいものを用い,もし日のたったものを使うときはギ酸ナトリウムによる分解加熱を十分行なう必要があり,0.2mg以上の鉄の共存は妨害するので,あらかじめ除去する必要があることがわかった.<BR>また,予備中和のときに加える指示薬が定量値にマイナスの誤差を与えることが判明した.以上の検討により最適定量操作条件を見いだし,臭素をいろいろの割合に含む塩化カリウム,塩酸中の臭素を定量し再現性のよい結果を得た.
- 社団法人 日本分析化学会の論文