チオ硫酸ナトリウムによる亜鉛,カドミウム,鉛,インジウムの陰イオン交換分離
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概要
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亜鉛,カドミウム,鉛,インジウムは周期律表上で近縁の位置にあり,化学的挙動が似ているので,分析化学的にこれらの相互分離が問題となる場合がかなりある.イオン交換法によるこれら各元素の分離は,無機試薬を溶離剤とした場合,ほかの元素の場合と同様に塩酸,臭化水素酸などによる錯陰イオンの生成を利用する方法が通常であるが,硫酸系によるものも報告されている.このほか,上記の各イオンはチオ硫酸ナトリウム溶液中で比較的弱い錯イオンを形成するので,この生成定数の差を利用してイオン交換分離を行なうことができると考えられ,陽イオン交換樹脂を用いた例がすでにVasilev,Ryabchikov,桂によって報告されている.本報では陰イオン交換樹脂Dowex1-X8を用い,まず種々のチオ硫酸ナトリウム溶液についてそれぞれの分布係数<I>K<SUB>d</SUB></I>をバッチ法により求め,ついてカラム法による相互分離を試みた.