けい光X線分析法による転炉粗銅中のアンチモン,鉛の定量
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概要
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転炉粗銅のアンチモン,鉛を工程管理用に迅速定量するために,鋳込み試料によるけい光X線分析法を確立した.転炉粗銅は溶湯試料中にガスを含有しているために,鋳込み試料の内部に多くの“す”ができる.したがって鋳込み試料を切断して得られる分析試料の表面は“あばた”を作り,このためアンチモン,鉛が同一濃度であっても表面状態によって,X線測定強度が変化するので,分析精度が不良となる.この表面状態の影響を補正する方法として,主成分である銅を内標準にとり,アンチモン,鉛の定量を試み,その分析値が化学分析値とよく一致し満足な結果が得られた.分析所要時間は1試料あたり約10分である.<BR>なお,分析方法の検討にあたって,化学分析によりアンチモン,鉛の巨視的分布を調べ分析試料の採取方法を決定した.また光学顕微鏡,X線マイクロアナライザーによる観察結果から,試料中にアンチモン,鉛が気孔周辺に濃縮することもなく,全体としてランダムに存在していることを確認し,さらに試料の表面状態と計数値の関係をも検討して,この内標準法が適用可能であることがわかった.