活性炭吸着法による水銀の無炎原子吸光分析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
還元気化法により発生させた試料液中の水銀を,キャリヤーガスとして窒素を用い石英カラムに充てんした活性炭そうに吸着させる.常温では水銀は完全に捕集されるが,カラムを炉内に導入加熱すればふたたび脱着される.この蒸気を原子吸光装置内に装着した吸光セル内に通過させ,253.7nmの吸光度を記録し,定量を行なう方法を試みた.通常の還元気化法では液温,液量など,水銀蒸気の気液平衡に基因する変動が測定結果に影響を及ぼすのに対し,本法では液温8〜30℃,液量10〜500m<I>l</I>の変動に対し一定の測定結果が得られた.また活性炭上での濃縮効果により,感度が約5倍に上昇した.脱着炉の温度上昇とともに吸収曲線の極大値が上昇するが,300℃以上ではほぼ一定となった.前処理法として,硫酸-硝酸分解を行なうと発生する亜硝酸ガスによる妨害がみられたが,過マンガン酸カリウム処理によりこの妨害は消失した.測定所要時間は1試料あたり約8分であった.
- 社団法人 日本分析化学会の論文