高分子量第4級アンモニウム塩による抽出分離を用いる鉄鋼中の希土類元素の吸光光度定量
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概要
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鉄鋼中の希土類元素を吸光光度法で定量するために,分離法として,高分子量第4級アンモニウム塩であるムーニオンA-9Q-08を用いる溶媒抽出法を検討した.鉄の大部分をMIBKで抽出除去したのち,希土類元素は,7<I>M</I>硝酸ナトリウム溶液から30vol%ムーニォンA-9Q-08-キシレン溶液に定量的に抽出された.鉄,マンガン,クロム,ニッケル,コバルト,銅,チタン,アルミニウム,リンなどはほとんど抽出されず,モリブデンおよびバナジウムは,希土類元素の塩酸による逆抽出の際,逆抽出されず,これら共存妨害元素とほぼ完全に分離できた.分離後の全希土類元素は,アルセナゾIを用いて精度よく定量できた.また,その一部を分取して,7<I>M</I>硝酸-1<I>M</I>臭素酸ナトリウム溶液とすれば,セリウムのみが30vol%ムーニオンA-9Q-08-ベンゼン溶液に抽出され,分離定量ができた.セリウム除去後の他の希土類元素は,ムーニオンA-9Q-08をしみ込ませたろ紙による逆相ペーパークロマトグラフィーで簡単に分離され,ランタン,プラセオジム,ネオジムの存在量もかなり満足に定量できた.