ポリ-α-アミノ酸の触媒的効果
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概要
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酵素の本体は複雑な構造のタンパク質であり, 最近1次, 2次, 3次構造まで解明された酵素でも構造からのみではその機能を完全に理解できない。合成ポリアミノ酸でその素反応を完明することも一手段である。酵素の作用に着目すると加水分解酵素と酸化還元酵素に大別され, 前者は一般に単純タンパク質であり後者は複合タンパク質に属する。これらの触媒作用に関係している因子としてタンパク質分子全体の役割, すなわち高分子的役割はもちろん見のがせないがそのほかに分子中の特定の部分がいわゆる活性点として触媒機能に直接的役割を果たしている。加水分解酵素は分子全体が単純タンパク質であるのでその作用はおそらく特定のアミノ酸残基の官能基の相互作用の場が活性点に相当し, これに分子全体としての作用が加味されていると考えるのは妥当であろう。酸化還元酵素では補酵素部分が電子または水素原子受授の場, すなわち活性点に相当し, アポタンパク質部分はその作用を補助していると考えられる。要するに加水分解酵素はイオンの受授, 酸化還元酵素は電子の受授がその主な機能と考えてよかろう。