遊離の1-ピレンスルホン酸の調製 : ピレンの利用に関する研究 (第5報)
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概要
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表1の結果から, 最適条件は, ピレン5gに対してニトロベンゼン10〜20m<I>l</I>, 濃硫酸4m<I>l</I> (理論量の約3倍), 反応温度40〜50℃, 反応時間1時間であり, 粗製品の収率は約95% (対理論) となる (No.6, 16) 。<BR>反応温度が70℃以上では一部にジスルホン化がおこると思われる (No.11, 12) 。すなわち (1) の生成量は減少するが, これは副生したジスルホン酸が水溶液から沈殿させられないためと考えられる。温度が60℃以下ならば濃硫酸を大過剰にしてもジスルホン化はおこらない (No.13, 14) 。なお, 140℃での反応も試みたが, 生成物は黒色樹脂状に遊離し, 水溶性を示さなかった。<BR>後処理では, a法は簡単で実用的である。c法で水蒸気蒸留の際 (1) がピレンにもどらないことは, (1) の希硫酸溶液を熱しながら水蒸気を通じて確かめた。<BR>反応溶媒として, ベンゼン, 四塩化炭素, 氷酢酸も試みたが, ジスルホン化がおこり, 好結果は得られなかった。 (2) の場合は濃硫酸が均一に混合し, 生成した (1) が析出するが, ベンゼン, 四塩化炭素では前の条件, 氷酢酸では後の条件が成立たないためであろう。
- 社団法人 有機合成化学協会の論文