第3回国際メタセシス・シンポジウムからの報告
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概要
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オレフィン・メタセシスは, 不均一触媒 (MoO<SUB>3</SUB>/Al<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>) によるプロピレンからエチレンとブテンを合成する「トリオレフィン・プロセス」 (1964年) で始まったが, その後均一触媒系 (たとえば, WCl<SUB>6</SUB>/EtOH/AlEtCl<SUB>2</SUB> (Cal-deron触媒), MoCl<SUB>2</SUB> (NO) <SUB>2</SUB>(PPh<SUB>3</SUB>) <SUB>2</SUB>/Al<SUB>2</SUB>Et<SUB>3</SUB>Cl<SUB>3</SUB> (Hughes触媒), (OC) <SUB>5</SUB>WCPh<SUB>2</SUB> (Casey触媒)) やメタセシス重合の発見につづく, 各種の機構の提案があり, 有機化学者の想像力をかきたててきた。昨今, ようやくカルベン錯体機構 (Chauvin機構) に落ちつき, 本格的な有機合成反応としてのかたちをととのえてきた。将来は, 大規模な工業的反応からファインケミカル合成まで, オレフィンの合成法として極めて利用価値の高い触媒反応として成熟するものと期待され, すでに過去2回マインツとアムステルダムで国際シンポジウムが行なわれてきた。今回はISOM-3として, フランスの工業都市リヨンで, 商工会議所の後援のもと, リヨン大学商学部ホールで, 1979年9月10日〜12日の3日間行なわれた。場所も時期も, ディジョンでの第9回国際有機金属会議に近く設定してあり, 関連の深い有機金属化学研究者の出席に便利にしてあった。出席者は各国から計100名以上となり, 招待講演者もN. Calderon, R. L. Banks, M. L. H. Green, C. P. Casey, R. R. Schrock, R H. Grubbsなど有名な研究者で占められ, 一つの反応に的をしぼった珍しく集中的なシンポジウムが実現した。そのため深夜近くまで活発な討論がつづいたが, 有機合成的に興味のあるものを選び報告する。
- 社団法人 有機合成化学協会の論文
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