雪による造林上の障害とその防止について
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概要
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富山営林署の管轄する国有林は, 富山県一円に散在し, その所管面積は約98.000haである.<BR>当署管内国有林の自然的, 経済的環境を大観するに, まず自然的環境としては, 海抜3,000mに達する岩石地帯の, 中部山岳国立公園として観光的な山岳地帯から, 造林可能地に至るまで, 自然的条件にめぐまれず, <BR>したがって森林の開発も漸やくその緒についたばかりであり, また経済的環境としては北陸一の富山市場を管内にもち, 国有林の市場性は豊かである.したがって当署としては, その環境に応じた, 土地並びに林木資源を最大限に活用できるよう, 最も効果的な経営手段を講じ, その合理化をはかっているが, この拡大な国有林のうち, 造林とか伐採という経済行為のできる地区が, この全面積の10%にも満たない.残りは地形地質的条件から事業実行できない所もあるが, 当面冬期の雪害によって, 造林困難である国有林が約60,000haに達し, この広大な森林が, 経済行為としての経営の対象となっていない.<BR>つまり当署の国有林の開発の度合は, 造林地が全体の2%に満たず, 残りのほとんどが不採算林分としていることである.<BR>この主な原因が, 日本海沿岸の湿性の多雪による, 積雪被害という大きな自然的障害が横たわっている.<BR>林業が経済行為としてなりたっためには, 収益性, 生産性の高い森林構造実現をはかるための, 低位過熱な天然生林を人工林に改良することである.<BR>その造成にあたって第一の障害は, 自然的な積雪の被害である.これを克服しなければならない.つまり国有林の木材生産等の経営目的達成のためには, 最善の経営が営なまなければならない.そのためには, つまり国有林の殆んどが, 経済的に利用できないでいるのは, 北陸特有の豪雪によって造林が困難であり, その解消あるいは克服をはかることが, 富山県地方における国有林の, 経営上最も重要な課題である。
- 社団法人 日本雪氷学会の論文