破損木を指標とした谷川連峰の雪崩の研究
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概要
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谷川連峰のブナ林に形成された雪崩道において, 破損木を指標とした雪崩の調査を実施し, 次の結果をえた.<BR>1) マチガ沢や武能沢では, 発生源と流下経路の異なる複数の雪崩道が並列し, みかけ上ひとつの広大な雪崩道が形成されている.<BR>2) 樹木の破損形態と破損木の大きさ及び, その分布から, マチガ沢と武能沢では煙り型の運動形態を示す表層雪崩が発生していることが推定された.<BR>3) 倒伏した樹木に生じた上伸枝の年輪数から, マチガ沢で5回, 武能沢で3回の表層雪崩の発生年度が推定された.<BR>4) 湯檜曾川右岸の武能沢, 幽ノ沢, 一ノ倉沢, マチガ沢及び, 西黒沢における雪崩の流下距離は, 雪崩の規模に影響する斜面傾斜や単位斜面の大きさなどの発生域の地形と, 雪崩の流下を阻害する傾斜変換点や山脚の有無などの走路域の地形に規定されている.<BR>マチガ沢と武能沢の樹木に残された雪崩の痕跡から, 雪崩の流下経路運動形態, 発生年度に関して以下の事実が明らかになった.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文