湿雪の予知と着雪対策への応用
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概要
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融解層を落下する任意雪片の含水率を,雪片が熱及び水蒸気輸送で得る熱量に比例する変数A,Eの関数として示した.更に過去に着雪被害を起こした降雪に就いてA,Eの平均値を求め着雪時の有効含水率を推定した.結果は(1)0%-等含水率線(乾―湿雪領域の境界線)は原点を通る勾配0.13の直線で,雪片の質量に関係なく共通である.(2)質量Mmgを持つ雪粒子の100%-等含水率線(湿雪―雨領域の境界線)はE=0.13A-0.13M<SUP>0.53</SUP>/(4.07×10<SUP>-4</SUP>)で示され,この線上で任意質量M<SUB>1</SUB>の雪片の含水率はW(M<SUB>1</SUB>≦M)=1, W(M<SUB>1</SUB>>M)=M<SUP>0.53</SUP>×M<SUB>1</SUB><SUP>-0.53</SUP>から求まる.(3)事故を伴った着雪は湿雪領域の飽和(0℃の氷に対して)に近い領域で起きていた.特に北海道の着雪は殆ど飽和の低温域で起きていた.(4)有効含水率∫<SUP>∞</SUP><SUB>0</SUB>M・W(M)・N(M) dM/∫<SUP>∞</SUP><SUB>0</SUB>M・N(M)dMは降雪強度が弱い程大きくなる.ただし,N(M)dMは降雪粒子の質量分布で, Gunn-Marshall分布を質量分布に変換して使った.その結果事故当時の平均降雪強度を2〜3mm/hとすると有効含水率は北海道の着雪時には6〜8%,北陸,関東などでは20〜30%と推定された.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文