フェルミの雪崩運動モデルにおける抵抗パラメータに関する一考察
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概要
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雪崩の防護施設を設計する際に一般的に使用されているVoellmyの雪崩速度公式に含まれている抵抗に関する2個のパラメータμ, ξについて, 実用上の値を見積もるために, 先ず, 最近の外国の文献に報告されているμとξの値を集約して, その出現頻度の傾向を調べた.次に, ξについて, 最近ではVoellmyの示した値よりもはるかに大きな値が報告されていることから, 水理学の理論を導入したVoellmyの考えを更に進め, ξについての基本的な考察を行ない, ξが現実的に取り得る値の上限について推論した.以下にその主な結果を列記する.1) 報告されたμの値は0〜0.5の間で出現し, とくに0.14〜0.33の間に集中していて, Voellmyの考えとはあまり食い違ってはいない.2) これに対して, ξの値の方は300〜3000ms<SUP>-2</SUP>の間で出現し, 特に400〜1800ms<SUP>-2</SUP>の間に集中していて, 上限値は, Voellmyの示した500ms<SUP>-2</SUP>前後という値に比べてかなり大きくなっている.3) ξの値は地形や植生による地表粗度によるだけでなく, 雪崩の流れの深さや雪質によっても左右される.4) ξが現実的に取り得る値の上限は, 局部的には4000ms<SUP>-2</SUP>以上にもなる可能性がある.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
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