近畿周辺での降雪粒子の観測
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概要
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冬季二シーズンにわたり近畿地方周辺で降雪粒子の観測を行なった.降雪のタイプとして短時間のしゅう雪, 季節風による降雪, 温帯低気圧による降雪という3タイプが観測された.降雪のタイプごとに霰を含む雲粒付結晶が卓越する場合と雪片が卓越する場合とがあった.小さな塊状霰が観測され, その密度は外径が2mm以下ではほぼ一定で, 2mm以上では粒径とともに増大する傾向があった.また, 霰のエンブリオとして凍結雲粒が観測された.これらの結果は霰の密度の時間変化を求めた計算結果とほぼ一致した.近畿地方周辺の降雪に特徴的な雲粒付成長が開始する気象条件を求めた.その結果, 雲底温度が-17℃以上であること, 融解直径が0.45mm以上となる大きな降雪粒子が雲中に存在することという条件が得られた.また, ライミングの開始に関して, 雪水量 (<I>W</I> : g/m<SUP>3</SUP>) と降雪粒子の空間濃度 (<I>N</I> : 個/m<SUP>3</SUP>) との間に<I>N</I><2.1×10<SUP>6</SUP><I>W</I><SUP>1.88</SUP>という実験式が得られた.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文