湿潤積雪の一軸圧縮試験
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概要
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土木構造物を極寒地域に建設する場合, 基礎として雪氷の利用を考える必要がある.そのためには, 雪氷の種々の力学的性質を知らなければならない.この研究では, 基礎的な試験の一つとして一軸圧縮試験を行なった.<BR>供試体としては, 劔岳近くのはまぐり雪という雪渓の雪を使った.夏の雪なので, 湿潤であると同時に高密度である.試験も, ただちに現地で行なった.<BR>実験結果に工学的な検討を加えて得られた結論は次のとおりである.<BR>1) 雪はLocking Materialである.ある歪をこえて圧縮すると, 弾性係数は著しく大きくなる.構造物基礎としては, この程度に圧縮した状態での利用が望ましい.<BR>2) 雪はすべり破壊に対する安全度がかなり高い.雪氷においては, 普通の施工速度で施工すれば粘土地盤における緩速施工と同様な効果が十分発揮される.また, せん断抵抗力そのものも粘土に比較して大きい.<BR>3) 含水状態は非常に危険である.間げき水を含んだ状態では雪氷のせん断強度は低下し, また, 圧縮しやすくなる.さらに, 構造骨格の氷が内部で間げき水に変化することによる骨格自体の強度低下も付加される.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文