Lactobacillus salivarius TI 2711 (LS 1) の服用が臨床症状およびプラーク中の歯周病原菌に及ぼす効果
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概要
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乳酸菌Lactobacillus salivarius TI 2711 (LS 1) のプロバイオティクスとしての効果を検討するために, LS 1服用が歯肉縁下プラーク中の歯周病原菌および歯周組織の臨床症状に与える影響について検討した。総数30名の被験者にLS 1含有の錠菓またはプラセボ錠菓を1日3錠4週間服用させ (1錠当たりLS 1 6.6×107CFU), 服用期間前後の歯肉縁下プラークを採取し, 試料とした。試料中に含まれる歯周病原菌の菌数はリアルタイムPCRで測定し, 総菌数に占める割合を算出した。ついで, 試料中のL. salivariusをPCRで検出した。また, 歯肉縁下プラーク採取時に, 臨床パラメータとして歯周ポケット深さ (PD), プロービング時の出血 (BOP) およびプラークコントロールレコード (PCR) を記録した。その結果, LS 1服用により歯肉縁下プラーク中の総菌数中に占めるPorphyromonas gingivalisの割合は平均で1.1×10−2から1.3×10−3へと有意 (P=0.01) に減少した。歯肉縁下プラーク中のL. salivariusは, LS 1服用者の全員 (11名) から検出されたが, プラセボ服用者からは検出されなかった。また, LS 1服用群プラセボ服用群共にBOP, PD, PCRで有意な減少が認められたが, 各臨床パラメーターの減少率を比較するとLS 1服用群においては, BOP, 最大PDおよびPCRの減少率が大となる傾向が見られた。本結果から, LS 1は歯肉縁下プラーク中へと移行し, P. gingivalisを有意に減少させるとともに, 歯周病の臨床症状を改善する傾向が認められた。すなわち, LS 1は口腔内のフローラコントロールを可能とするプロバイオティクスであることが示された。今後, プロバイオティクスを用いた生物的プラークコントロールが新しい歯周病予防法になるものと期待される。
著者
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菅野 直之
日本大学歯学部歯周病学講座
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菅野 直之
日本大学歯学部付属歯科病院予防歯科
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松岡 隆史
株式会社 フレンテ・インターナショナル
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古賀 泰裕
東海大学医学部感染症研究室
-
古賀 泰裕
東海大学医学部
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伊藤 公一
日本大学歯学部
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松岡 隆史
株式会社 フレンテ·インターナショナル
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