腎静脈血栓症にて発症した全身性エリテマトーデスの1例
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概要
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腎静脈血栓症を初発症状とした全身性エリテマトーデス(SLE)の1例を報告する.患者は, 22才の男性で,腰痛・血尿・乏尿・右腎腫瘍のため入院した. 4カ月前より他院にて,胸膜炎様胸痛とX線像上左下肺野浸潤影のため,結核性胸膜炎と診断され治療中であつた.当院泌尿器科にて右腎摘出術施行し,右腎静脈血栓症と膜性腎炎と診断された.内科転科時,蝶形紅斑を認めた.検尿で1日5.0gのタンパク尿,血液化学で2.2g/dlの低アルブミン血症がみられた.免疫学的検査で,梅毒反応偽陽性で, homogenous patternの抗核抗体と抗DNA抗体・LEテスト陽性であつた.以上より,ループス膜性腎炎によるネフローゼ症候群に合併した腎静脈血栓症と診断した.このような合併は,異種性をもつSLEの一病型とも考えられ,その臨床的特徴・病態・治療上の問題を若干の文献的考察を併せ検討した.