全身性エリテマトーデスにおける抗・Fab抗体の特異性抗・DNA抗体に対する抗・イディオ・タイプ自己抗体としての検討
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概要
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全身性エリテマトーデス(SLE)の患者血清中に自然発現する, IgGのF (ab′)2フラグメントに対する抗体(抗・Fab抗体)について,これが抗・ss-DNA抗体に対する抗・インディオ・タイプ自己抗体としての活性を有することを見いだした. Double isotope liquid phase radioimmunoassayによつて測定した抗・Fab抗体価は健常人: 9.8±9.1 (n=19), SLE: 24.9±22.7 (n=42),慢性関節リウマチ(RA): 52.5±44.6 (n=41)で両疾患とも有意に高値を示した(p<0.01, Ridit法). SLE患者血清中では,抗・Fab抗体と抗・ss-DNA抗体の分子量分布はよく似ており, intermediate sizeの免疫複合体を形成していると思われた.この事は両抗体をそれぞれ精製した後にpepsinでF(ab′)2フラグメントとしても反応することから特異的な反応であることが確認できた.さらにSLE患者血清から精製した抗・Fab抗体は5人のSLE患者の抗・ss-DNA抗体価を60〜70%も阻害し,およそ2.3μgの非標識ss-DNAと同程度の効果であつた.一方RA患者血清から精製した抗・Fab抗体は,多クローン性のF (ab′)2フラグメントとは強く反応しても, SLE血清の抗・ss-DNA抗体活性を阻害しなかつた.またSLEの抗・Fab抗体は, Down症候群患者の抗・HBs抗体活性を阻害しなかつた.従つてSLE血清中の抗・Fab抗体が,抗ss-DNA抗体に対する抗イディオ・タイプ抗体としての活性を有することが確認できた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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