両側性内分泌非活性副腎皮質癌の2例
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概要
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原発性副腎皮質癌は希な疾患であるが,ホルモン産生を有する内分泌活性癌の診断は比較的容易であるとされている.今回,両側性内分泌非活性副腎皮質癌2症例を報告する.症例1.71才,男.上腹部痛を主訴とし,吐血にて入院. CTにて両腎の上極に大きな同大の腫瘍を認めた.尿中17-KS, 17-OHCSは低値で, cortisol日内変動は認めなかつた.全身衰弱が急激に進行し,死亡した.剖検では両側性副腎皮質癌が証明され,大きさは右13×7×4.5cm,左10×7×5cm,重さ右380g,左360gであつた.右側腫瘍は十二指腸への浸潤があり,出血源であつた.組織学的には癌細胞はcompact typeで卵型の核を有し, sheet状やtrabecularな配列を示した.症例2.72才,男.食欲不振,背部痛を主訴に入院.胸部X線像検査で右S3a領域に腫瘍陰影を,腹部超音波検査で肝右葉後部にsolid echoがみられ,原発性肺癌と肝転移と診断した.悪液質にてまもなく死亡し,剖検では症例1と同様両側性副腎皮質癌が証明され,大きさは右10×6×7cm,左10×5×4cm,重さ右280g,左150gであつた.肺癌と思われた腫瘤は胸膜,胸壁への転移であつた.組織学的には症例1とほぼ同じであつた.内分泌非活性副腎皮質癌は典型的症状に欠けるため診断がおくれる場合が多い.本症の早期発見には,本疾患の存在を認識すること,腹部超音波検査, CT検査をスクリーニングとして行なうことと考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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