冠状動脈硬化の成因に関する臨床的研究冠状動脈硬化度と血清リポ蛋白との対比検討について
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概要
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選択的冠状動脈造影にて冠状動脈硬化病変の重症度を定量的に表わし得た男性100症例につき,血清リポ蛋白の種々のparameterとの関係について検討を加え,冠状動脈硬化における血清リポ蛋白の臨床的意義について考察した.冠状動脈硬化群は非硬化群に比し,総コレステロール,トリグリセリドおよびアポBの増加と,高比重リポ蛋白コレステロール,アポA-IおよびアポA-IIの減少を認めた.冠状動脈硬化度の指標として低比重リポ蛋白コレステロールと高比重リポ蛋白コレステロールの比が多用されているが,今回の検討により,アポ蛋白比,すなわちアポBとアポA-Iの比が冠状動脈硬化度とより良い相関を示した.各リポ蛋白に分画して比較すると,非硬化群に比し硬化群で超低比重リポ蛋白および低比重リポ蛋白の増加と高比重リポ蛋白の減少が認められ,また硬化群ではいずれのリポ蛋白分画においても,トリグリセリドの組成比が高く,冠状動脈硬化におけるトリグリセリドの関与が示唆された.高比重リポ蛋白をHDL2とHDL3に細分画し比較検討すると,硬化群においてHDL2が有意に低く, HDL3には差を認めなかつた.とくにHDL2中のアポA-Iの減少が著明であつた.種々のparameterにおける動静脈間較差を検討すると,超低比重リポ蛋白が静脈側で有意に低く,超低比重リポ蛋白-トリグリセリドの心筋での取り込みが示唆された.この際,これに見合う低比重リポ蛋白および高比重リポ蛋白の増加は捕えられなかつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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