多発性筋炎における心病変 筋病変および肺病変との関連
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概要
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多発性筋炎に伴う心病変を全身性疾患の立場から検討するため, 26例を対象に非観血的心機能検査と心臓カテーテル検査成績から心病変を,胸部X線像から肺病変を検索し,これら病変と骨格筋病像との関連について臨床的検討を行なつた.心エコー図で4例に心膜液貯留を, 1例に僧帽弁逸脱所見を認めた.血行動態的には大多数の例でhyperkinetic stateを呈し,熱希釈法による心拍出量測定値もこれに対応したが, 2例にうつ血型病態をみた. 10例に心電図異常(上室性および心室性期外収縮,低電位, T波異常,心室内伝導障害)を認めた. 2例でヒス束以下の伝導遅延を認めたが,洞結節および房室結節の機能は6例で正常であつた. 5例の心筋組織像は共通して炎症性細胞浸潤所見を欠き,間質の線維化に比して,高度の心筋線維の変性が主であつた. 1剖検心では著明な脂肪浸潤を認め,骨格筋像と強い類似性をみた.以上,非観血的方法でも50%の例で心異常所見が認められたが,これは固有心筋のみならず,心外膜および刺激伝導系の病変に対応する所見と考えられた.心病変は筋病像の改善が十分でない例に多く認められた.一方,間質性肺病変は73%の例に認められ,多くの例で経時的に増悪を示した.以上の成績から,多発性筋炎では心病変はステロイド治療による筋病像の改善と強い関連を有するが,肺病変は無関係で,病因的に何らかの臓器障害の差異が考えられた.