代償性肝硬変症における血漿アルドステロン
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概要
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代償性肝硬変症におけるアルドステロンの動態を知る目的で入院治療により,代償期に達した肝硬変症患者7名(男5名,女2名,年令37-70才)について,日内変動の追求,アンギオテンシンII (AII)および1 Sar-8IleアンギオテンシンII (AIIA)注入試験, ACTH荷試験を行ない次の結果を得た. (1)肝硬変症患者の血漿アルドステロン(PAC)は177±20pg/mlと正常者の92±21pg/mlに比べ,約2倍の高値を示した.血漿レニン活性(PRA),血漿ロルチゾール(PC)については正常者との間に有意差はなかつた. PCでは日内リズムが認められたが, PAC, PRAの日内リズムは消失していた.デキサメサゾン投与後PAC, PCは抑制され,日内リズムは消失した. PRAには有意な変化はなかつた. (2) AII注入によるPACの反応性は正常者に比較して有意に低下していた. PRAは明らかに抑制された. AIIA注入では,血圧, PACには変化がなかつた. (3) ACTH負荷によりPACは正常者,肝硬変症患者共に30分後で約2倍に増加し,両群間に有意な差はなかつた. PCは両群共に著明に増加した. PRAは肝硬変症患者で60分後のみ有意に減少した.正常者には有意な変化はなかつた.以上の結果から,代償性肝硬変症におけるアルドステロンの分泌調節機構は,レニンよりむしろ, ACTH依存性である可能性が推測される.