高安病の体質的素因 : HLA (histocompatibility antigens) systemからの検討
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概要
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高安病の成因に関し,その体質的素因を検討するため本疾患患者のHLAについて検索をおこなつた. population study:家族内発症例の発端者6名を含む75名の高安病患者につぎHLA-A, B, D typingを検索し健康日本人128名のA, B typingおよび214名のD typingと比較した.その結果高安病患者群ではHLA-Bw52 (cP (corected P)<2.8×10-4, RR (relative risk)=5.5)およびHLA-Dw12 (cP<0.039, RR=2.5)が有意に増加しておりHLA haplotypeとしてはHLA A9-BW52-Dw12が高安病と相関していた.またHLA-Bw52のホモ接合体の数は高安病患者75名中6名であり,これは高安病患者75名のHLA phenotypeより求めたHLA-Bw52の遺伝子頻度を用い計算した値(5名)と比し有意差はなかつた.さらに患者におけるHLA-Bw52とHLA-Dwl2との相関度を比較してみるとHLA-Bw52の方が高安病とより強い相関を示した. family study:高安病家族内発症6家系の家族全員のHLA haplotypeを検索した.この検索からHLA A9-Bw52-Dw12が,その家系に現われていれば患者は必ず共通してそのhaplotypeを有することが確認された.また家族内発症10家系のうち4家系で患者両親はいとこ結婚であり,これは日本人平均のいとこ婚率(6.9%)に比し有意に(P<10-4)高い結果を示した.以上の結果から, I)高安病に罹患しやすい体質的素因が存在し, II) haplotype HLA Bw52-Dwl2と有意の相関を示すが, III) HLA-Dw12よりHLA-Bw52と強い相関があり, IV)優性遺伝していることが示唆された. V)さらに高安病易発症体質を持つ人の血族結婚は,遺伝学的に好ましくないと考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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