ホモ接合型家族性高high density lipoprotein (HDL)血症の2家系におけるリポ蛋白・アポ蛋白の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
検診で高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)が180mg/100ml以上を示した2名の男性の家系調査を行ない,発端者,配偶者,血縁者の血漿脂質,リポ蛋白,アポ蛋白を分析し,家系内での動脈硬化性疾患の発生状況,発端者の父母,祖父母世代の寿命,死因を検討した.これらの2家系は家族性高HDL血症のホモ接合体家系と考えられ,第1家系では2名のhomozygote carrier (homo)と8名のheterozygote carrier (hetero)が,第2家系では1名のhomoと4名のheteroの存在が認められ,その遺伝形式は,常染色体優性遺伝が示唆された. 3名のhomoは, HDL-Cが著明な高値を示す一方,低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)は低値であつた.超遠心法によるHDLの分析では, homoでは, HDL脂質が,総コレステロ一ル,トリグリセライド,リン脂質三者とも,ほぼ正常の比率で全体に増加しており,同様の傾向はheteroでも認められた. homoでは, HDL2-Cのみが正常の約5倍増加していたが, HDL3-Cは増加がみられなかつた.血漿アポ蛋白測定では,第1家系のhomo 2名ではアポA-I, A-IIの上昇は軽度であつたが,第2家系のhomoではアポA-I, A-IIとも著明に増加していた.またアポC-II, Eは両家系のhomo全員で著明に増加していた.両家系とも,両親,祖父母の世代に長寿の者が多数存在し,その死因も,聴取した限りにおいて,動脈硬化性疾患は少ないと推定され,高HDL血症と長寿の関係を支持する結果が得られた.
著者
関連論文
- 疫学成績からみた高トリグリセリド血症と冠動脈硬化症 (トリグリセリドと動脈硬化)
- ホモ接合型家族性高high density lipoprotein (HDL)血症の2家系におけるリポ蛋白・アポ蛋白の検討
- Prader-Willi症候群の1例
- 正規インスリンで脱感作し得たインスリンアレルギーの1例
- ヒトの肥満におけるインスリン過剰分泌反応と代謝異常の発生について