心房早期刺激,ヒス束心電図による機能的脚ブロックの解析
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概要
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上室性刺激に伴う心室内変行伝導の結果生じる脚ブロックは,一般には生理的なものであり機能的脚ブロック(FBBB)1)〜3)といわれる.今回このFBBBの極形である完全脚ブロック(BBB)出現につき50例の正常PQ,正常QRS波形例を対象とし,心房早期刺激法とヒス束心電図4)を使用し検討した. BBB出現は50例中31例(62%)にみられた.内訳は右脚ブロック(RBBB) 21例,異常左軸偏位を伴つた右脚ブロック(RBBB+LAH)3例,異常右軸偏位を伴つた右脚ブロック(RBBB+LPH) 2例,左脚ブロック(LBBB) 3例, RBBB, LBBBの両型出現が2例にみられた, BBB出現の基本条件としてはより長い心周期の存在,上室性期外収縮(PAC) (A2)が存在し,適当な連結期を有している事,適当なfast AV conductionの存在,さらに脚自体については右脚と左脚の不応期または伝導性にある程度以上の差を有する事が必要であつた. BBB出現を不応期よりみれば,房室結節の機能的不応期が脚の不応期よりより短い事が基本には必要である.これら両不応期は基本心周期,自律神経系の影響をうけて変化し, BBB出現もまた同様であつた.実際PACの連結期(A1A2)短縮にてBBB出現例の71%にもQRS波形の正常化がみられ,またBBB出現後PACの連結期短縮にてもそのR-R間隔はほぼ不変の症例もあり,特にFBBBとしてLBBB出現例ではFBBBと心室性期外収縮の鑑別が時に困難となつてくる.さらに同一症例でFBBBとしてRBBB, LBBBの両型を呈する事もあり,両者の鑑別にはより慎重を要する.
- 社団法人 日本内科学会の論文