成長ホルモンおよび副腎皮質刺激ホルモンの分泌不全による低血糖発作が頻発した人工透析の1例
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概要
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症例は38才.男性.主訴は意識障害,全身倦怠感,食欲不振. 18才の時に急性腎炎に罹患.昭和51年秋,昏睡状態で発見され透析療法のために当院に転送された,透析療法開始後も50mg/dlの低血糖発作が頻発した.理学的には,著明なやせ,体毛減少,低血圧を認めた.一般検査では,貧血,腎機能低下,低コレステロール血症を認めたが,肝機能は正常であつた.内分泌学的には, 50gOGTT,インスリン静注,グルカゴン筋注, L-DOPA投与, TRH静注,クロールプロマジン試験におけるGHの低値と反応不良,血漿コルチゾールの低値と日内リズムの消失およびインスリン静注時の反応不良, TRH静注時のTSH,プロラクチンの高値と過大反応, LH-RH静注時のLH, FSHの過剰,遅延反応を認めた.低血糖の原因として,インスリノーマ,インスリン自己免疫症候群は考えられず,重篤な肝障害もなかつた事から, GHおよびACTHの分泌機能不全が最も考えられた.治療としてhydrocortisone 20mgを投与し,低血糖発作の発現をみず,経過良好である.慢性腎不全患者における間脳-下垂体系異常は知られているが, GHおよびACTHの分泌不全による低血糖発作が頻発した報告はなく,本症例は極めてまれな例と考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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