大動脈炎症候群(高安動脈炎)の研究-血管造影を中心として-
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概要
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大動脈炎症候群60例を血管造影および血管径の計測により分類し検討した.病型と発症年令および病変の分布との間に顕著な相違がなく,病型と経過期間との間に有意差が認められた.上行大動脈の拡張性病変が68.3%にみられ,大動脈弁閉鎖不全(AI)を51.7%に認めた. AI例の上行大動脈造影所見が3型に分類された. AIの80%に大動脈基部拡張が関与し,うち16%は同部の拡張が顕著なannulo-aortic ectasia型を呈し,大動脈の高度の硬化性病変を伴い,外科治療上留意すべき所見であつた. 20%が大動脈基部拡張を欠き, Valsalva洞の変形がみられ,大動脈弁の退縮ないし侵襲によるAIの機序が推測された.上行大動脈拡張と連続性に腕頭動脈およびその分枝の近位側の拡張(開存)を示す例が80%にみられ,病型診断上あるいは本症の早期診断上,頚部の血流診断が役立つ.高血圧症例の1/3が腎血管性であり, Goldblatt型ではび漫性の腎動脈狭窄が認められ, 1例に血管造影後腎機能の低下が認められた,肺高血圧を伴う肺動脈病変例の60%に中等度以上(収縮期圧45〜80mmHg,平均26〜45mmHg)の肺高血圧があり,広範な肺動脈病変が認められた.狭心症では, AI,肺・体高血圧,心肥大に基づく2次性冠不全が高率と考えられ,本症の狭心症では冠状動脈造影が必要である.活動性炎症の判定上,病変部の「X線学的硬化度」診断が必要であり, CTの併用が有用である.
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