褐色細胞腫治療薬としてのα-blockerおよびβ-blockerの作用機序について
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概要
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今日では褐色細胞腫の治療薬としてα-blockerやβ-blockerが広く用いられている.しかしこの治療薬の褐色細胞腫組織自体に対する直接作用についての報告は今までほとんどみられないので,この作用について検討を行なつた.摘出褐色細胞腫組織が材料として用いられたが,まずこの4症例について臨床データをまとめて示した.ついで今回の実験では経時的潅流システム(周辺潅流システム)が考案され,用いられた.褐色細胞腫組織より潅流液中へのカテコラミンの放出は1時間30分で一定の低い基礎値となつたが,このときアセチルコリンを作用させるとカテコラミン放出ピークがおこつた. α-blockerとしてphento1amineおよびphenoxybenzamine効果を,またβ-blockerとしてpropranolo1の効果をみるため,アセチルコリン刺激直前にこれらblockerを投与することによつてカテコラミン放出ピークがどのように変わるかを検討した. phentolamineはアセチルコリンによるカテコラミン放出を抑制したが, phenoxybenzamineはアセチルコリンによるカテコラミン放出を抑制できなかつた.一方propranololはそれ自体カテコラミン放出を促進した.以上褐色細胞腫組織に対するα-blockerやβ-blockerの直接作用に差異のみられることを初めて明らかにした.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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