Cogan症候群の1症例 とくに多発性結節性動脈炎との関連について
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概要
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非梅毒性角膜実質炎に,耳鳴,眩暈,嘔気などの前庭神経症状と進行性の感音性難聴をきたす疾患をCogan症候群と呼んでいるが,いまだまれな疾患である.諸外国において1976年までに53例の報告1)があるが,本邦では鈴木2),高橋3)らの報告をみるのみである.本症例は47才,男性で, 18才の時難聴発作を伴う前庭神経症状で発症し,右耳難聴は徐々に進行した. 33才時に眼症状が初めて出現し,その後,視力障害は進行していつた. 38才時に再度の眩暈,嘔気,両側難聴の発作がみられた.また本症例では眼,耳症状以外の多彩な全身症状(関節痛,頚,背部の硬直感,腰痛,皮膚粘膜症状,嗄声,また高血圧)も経過中訴え,入院時検査所見で血沈の高度促進, CRP陽性,高ガンマグロブリン血症など何らかの免疫異常も考えられ,最近の文献でのpolyarteritis nodosa (PN:多発性結節性動脈炎)を始めとする血管炎の証明された症例も多くあり, Cogan症候群でみられる眼,耳症状は全身疾患(systemic vasculitis)の一連のものではないかとする概念に一致し興味があり,報告した.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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