急性心筋硬塞における血清creatine kinase isoenzyme, MB分画(CK-MB)の診断的意義
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概要
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血清CK-MBを寒天電気泳動法(蛍光法)およびDEAE-Sepharose CL-6Bを充填したイオン交換カラム法による新しい方法を用いて定量し,急性心筋硬塞(AMI)における血清CK-MBの診断的意義について検討した.対象は昭和大学病院および二,三の関連病院に胸痛を主訴として入院した100名,昭和大学病院中央研究検査所において血清CK活性異常を示した1,000検体,および筋注の影響を観察するために実施した健康職員有志15名の3群で,胸痛患者では心電図, CK, GOT, LDH等を測定し, CK-MBとの関連を検討した. AMIの早期診断には, CK-MBの測定が感度と特異性の両面(おのおの96%, 98%)からすぐれた指標となることを確認した.さらにCK-MBは典型的なAMIはもちろん,非典型的心電図を示すAMIの診断にも有用であつた.この血清CK-MBはAMI発作後極めて早期に増加し,平均18時間で14.8%のピークを示し, CKより早く変化する傾向にあつた. CK上昇を示した一般患者に対する検討では, CK-MBの上昇はAMIなどの心筋傷害以外にも,各型の進行性筋ジストロフィー,多発性筋炎等で認められたが,その経時変化によりAMIと筋疾患と鑑別が可能であつた.また筋疾患におけるCK-MBの上昇は必ずしも心筋傷害の合併を意味するとは限らないと考えられた.一方,筋注にこよりCKは上昇するが, CK-MBの上昇は認められなかつた.以上の成績から,血清CK-MBの経時測定はCCUのみならず,循環器科のルーチンの検査の一つとして非常に重要である.
- 社団法人 日本内科学会の論文