気管支喘息におけるプロスタグランディンの気道反応にかんする研究
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概要
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気管支喘息患者にプロスタグランディン(PG)E1の***ゾル吸入と静注およびPGF2αの***ゾル吸入を行ない,呼吸と循環に及ぼす効果を比較検討した.またradioimmunoassayによる動脈血血漿中PG値を測定し,気管支喘息発作とPGs代謝との関連性についても考察した. 1) PGE1 50μgの***ゾル吸入と静注との比較では,前者の気管支拡張効果が大であり,持続も長かつた. 2) PGE1 50μgの静注20分後,血中PGE値は増加したが,気管支痙〓の寛解に十分な増加ではなかつた. 3)喘息寛解時に比して発作時には血中PGE値の有意の増加がみられたが,この増加した血中PGE量もまた気管支〓を十分寛解させる効果を示さないと思われた.これに対し血中PGF値は発作前後で有意の変動を示さなかつた. 4) PGF2α***ゾル吸入では全例に濃度に応じた気管支〓を誘発し,数例には自然発作に類似する喘鳴を聴取したが,いずれも自然または気管支拡張剤吸入により速かに寛解した. 5) PGF2α***ゾル吸入に対する気道過敏性を,気道コンダクタスス(SGaw)が前値の50%以下に低下するPGF2α濃度をもつて閾値として評価した.閾値は98ng/mlから100μg/ml以上と個人差が著明で,今回求めた気管支喘息患者の血中PGF値および他に報告されている肺組織中PGF2α濃度に比してはるかに大量であつた.以上の観察により, PGE系およびPGF2αは共にヒトの気管支喘息発作の誘発,持続および寛解に直接関与するものではないと考えられた.
- 社団法人 日本内科学会の論文