良性頭蓋内圧亢進症を伴う偽性副甲状腺機能低下症の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は17才の男性.就学時には円形顔貌,短躯,皮下結節がみられ, 14才より痙〓発作が出現した.この発作は常に意識が保たれ,抗てんかん剤が無効であつた.入院時,臨床的所見にうつ血乳頭,両下腿の潰瘍とTrousseu徴候陽性を認めた.生理学的検査より筋電図上反復放電,脳波異常.生化学的検査より低Ca血・高P血.高alk-P-ase血症,外因性PTH負荷による尿中cyclic AMPとP排泄増加の欠如,さらに血中PTHの高値が認められた. dihydrotachysterol 0.5mg/日投与後1週間目より血満Ca・Pの正常化と痙〓発作の消失をみた.しかし6ヵ月後においても,うつ血乳頭と脳波異常は不変であつた.本例は偽性副甲状腺機能低下症に希な合併症としてうつ血乳頭と皮膚の慢性潰瘍が認められた.このうつ血乳頭は局所的神経徴候を欠き,正常な脳血管撮影と脳槽撮影さらに脳脊髄液圧の上昇を認めたことより良性頭蓋内圧亢進症と診断された.