腎機能障害時におけるジギタリス配糖体の体内動態における基礎的ならびに臨床的研究-Radioimmunoassay法による研究-
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概要
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Radioimmunoassayを用いて,正常時におけるdigoxinの体内動態を正常家兎ならびに正常犬を用いて動物実験的に検討するとともに,腎機能障害時におけるdigoxin排泄の病態について動物実験的ならびに臨床的に検討した. A)実験的研究:正常家兎にdigoxin 0.5mg/kg静注投与30分後における各臓器内digoxin濃度は腎が最も高く,骨格筋,心室筋,心房筋の順であつた.また血中digoxin濃度と心室筋内digoxin濃度との間には有意の正相関を認めた.正常犬ならびに片腎摘出犬において,血中digoxin濃度が低い時, digoxin clearanceは高値を示した.またstop flow法により,尿管結紮解放後尿中digoxin濃度の上昇を認めた.以上のことよりdigoxinは腎糸球体より濾過され尿細管より分泌されるものと推論した. B)臨床的研究:腎疾患患者において血中digoxin濃度とBUNおよびクレアチニンとの間には有意の相関を認めなかつたが,血中digoxin濃度とクレアチニンクリアランスとの間および尿中digoxin排泄量とクレアチニンクリアランスとの間にはいずれも有意の負の相関を認め,腎機能障害時のdigoxin投与量を決める指標としてはCcrが有用と考えられた.人工腎透析患者においてdigoxin静注後の血中digoxin濃度の減少は,正常対照群に比し有意に遅延した.また透析膜のdigoxin dializanceは16ml/minであつた. digoxinは人工腎により透析され難く, digitalisの使用には過量にならない様に充分注意する必要があると考える.
- 社団法人 日本内科学会の論文