左室収縮早期流量および流量-容積関係にかんする研究
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概要
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Computerによる左室clneangiogramの解析を用いて,左室流量が,各種心疾患において,とのように変化するかを検討した.対象は, I群:正常例, II群:僧帽弁狭窄症例, III群:左室容積負荷例, IV群:在室心筋疾患例の4群,計20例であつた.左室収縮期瞬時最大流量(Max F)は1回駆出量(SV)と相関(r=0.62, P<0.01)したが, I群と心疾患群の間に有意差はなかつた(P>0.05). Max Fを拡張末期容積で補正する(Max F/EDV)と,駆出率(EF)と(r=0.64, P<0.01),およびmean circumferential fiber shortening velocity (Mean Vcf)と(r=0.88, P<0.01)相関した. Max F/EDVは心疾患全体において低下の傾向を示したが, I群との間に有意差は認めなかつた(P>0.05).左室流量曲線において,駆出開始からMax Fに達する時間を全駆出時間で除すと(T max F), IV群において有意な増加を認めた(P<0.05).この所見を明確にするために,左室流量-容積曲線の収縮期について検討した. SVの25%が流出した時点と, 50%が流出した時点に事ける,瞬時流量を,それぞれF25, F50とし,その比(F25/F50)を計算した. F25/F50は, EFと軽度の相関(r=0.46, P<0.05)を示し, IV群において有意な低値をとつた(P<0.005). T max FとF25/F50は有意な逆相関(r=-0.75, P<0.01)を示した.これらのことから, T max FおよびF25/F50は,左室心筋障害の鋭敏な指標であることが示唆された.