浮腫性疾患におけるreninの動態およびそのparadoxical responseの機序について
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概要
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血漿レニン活性(PRA)をGouldらの変法により測定した.その結果,健常者のPRAには日内変動が認められ,正午に最高値を,深夜に最低値を示した.正午に測定したPRAの正常範囲は31±2.8ng/mlであつた.又,食塩のRAに及ぼす影響について検討するために健常者および浮腫のある患者に3日間の食塩制限後, 10%の食塩水100mlを60分かけて点滴静注を行なつた.健常者においては, PRAは食塩制限時,増加し,食塩負荷時,減少した.浮腫のある患者においては,食塩制限時, PRAは減少し,食塩負荷により増加した.この浮腫患者における「PRAの奇異反応」にかんし,現在まで殆ど説明がなされていない.そこでこの浮腫患者の食塩負荷時におけるPRAの奇異反応の機序を解明するため,体重10kgの成犬10匹と下大静脈狭窄による腹水犬10匹を用い, 10%の食塩水50ml投与前後の22Naおよび3Hの血中濃度の変動について検討した. 22Naの変動のうち,両群における明らかな差異は次のごとくであつた.即ち,腹水犬では食塩無負荷時,血中22Naは単調減少曲線を示したが,食塩負荷時は,負荷30分後,血中22Naが一時増加した.これは血管内液量が減少する過程を示していると思われる.腹水犬において,食塩水負荷時に血管内液量が一時減少する過程のあることが, PRAの奇異反応の一因として関与している可能性が推論された.
- 社団法人 日本内科学会の論文