慢性閉塞性肺疾患の臨床病型と予後
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概要
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慢性閉塞性肺疾患(以下COLD)の予後については,スパイログラムあるいは血液ガス所見より種々の検討がなされているが肺循環面より検討した報告は少ない.一方,近年COLDを臨床上肺気腫型と気管支炎型に分類する試みがなされている.著者はCOLD59例を初発症状と胸部X線写真より3群に分類し,各群前換気,肺循環諸量およびそれらと予後の関係を検討した.その結果,労作時の息切れを初発症状とし末梢肺紋理の減少したA群14%,咳,痰を初発症状とするB群25%および両群の性格を有するM群61%となつた!各群とも肺動脈圧,肺血管抵抗は高値を示し, 1秒率と最大換気量は減少していた.しかしB群はA群に比し心拍出量は高値を示し,著明なhypoxemia, hypercapneaを認めさらに肺活量も減少していた.死亡例の71%が肺性心に基づく右心不全により死亡し,群別にはB群とM群にのみみられたが, A群の例では息切れが短期間で急速に進行する傾向があつた.予後を左右する因子としていずれ前群でも肺動脈圧,肺動脈楔入圧,動脈血O2分圧,動脈血O2飽和度があげられるが,さらにA群では初診時の息切れの程度, B群では動脈血CO2分圧と肺活量についても予後を評価する上で考慮すべきであろう.