高血圧症の疫学的研究 : 東北地方の一地域における脳血管障害と心筋硬塞の発症についての追跡的研究
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概要
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著者は高血圧とその続発症である動脈硬化性疾患の疫学的研究の一環として,脳血管障害の死亡率の高い東北地方の岩手県浄法寺町において,脳血管障害と心筋硬塞,すなわち脳と心臓における血管障害の発症とその自然歴を臨床疫学的に追跡し,これら疾患の予防のための基礎調査とした.浄法寺町における1965年〜1970年の6年間の脳血管障害と心筋硬塞の年間罹患率はそれぞれ総人口1,000対5.2, 0.4であつた.脳血管障害の発症病型は脳硬塞が多く,脳硬塞の罹患率は脳出血のそれの2倍であつた.また自然歴を調査し,発症要因のうち高血圧は最大のリスク因子であることを明らかにした.浄法寺町における脳血管障害の罹患率は欧米諸国におけるよりも著しく高率であるのみならず,西日本におけるよりも高率であり,脳硬塞と脳出血とにわけて観察すると,とくに脳出血の占める割合が大きかつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文