局所脳循環動態計測による脳血管障害例の病態生理にかんする研究
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概要
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脳血管障害例における脳循環異常を多角的に把握することを目的として, gamma scintillation cameraを用いて局所脳血流量,平均通過時間,局所脳血管床容積,脳血管抵抗などの循環変量を同時に,同一局所について測定した.そしてこれらの変量の態度を生理的状態,病的状態にわけて検討した,非病巣部位78ヵ所については平均通過時間と局所脳血流量とは負の相関を認めた(P<0.001).生理的状態(頭蓋内非疾患群)においては,脳血流量は平均血圧の高低にかかわらずほぼ一定で,平均通過時間は平均血圧とは負の相関を示した(P<0.01).また脳血管抵抗は血管床容積と負の相関を示し(P<0.001),生理的状態においては血管内腔の変化が脳血管抵抗を規定しているものと考えた.病的状態(脳硬塞例群)においては局所脳血流量と平均血圧,および平均通過時間と平均血圧とはそれぞれ負の相関を示した(P<0.01), (P<0.01).脳血管抵抗と血管床容積との関係は生理的状態とはことなり,血管床容積の増加している例についても,脳血管抵抗は高値を示した.病巣部位における血管内血流と組織潅流血流との解離の程度,その性質をあらわすものとして“shunt index”なる指標を設定し,脳循環異常を客観的に表示しうる指標とした.
- 社団法人 日本内科学会の論文