冠動脈性心疾患における運動中のST低下と酸素摂取量, tension time indexの増加率,およびexercise factorとの相関について
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概要
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非冠動脈性心疾患21例と冠動脈性心疾患18例についてsubmaximalと思われる自転車ergometer運動を少なくとも8分から16分間行なわせ,運動終了時V3, V4, V5誘導で安静時レベルから有意のST偏位をみなかつた非冠疾患群21例をI群,冠疾患群11例をII群, 0.5mm以上のST低下をみた冠疾患群7例をIII群とした.弁膜性,先天性心疾患と心房細動例は除外した.〓O2,動脈圧およびexercise factorは安静時,運動4〜6分と最終2分間に測定し,三つのtension time indexは動脈平均圧×心拍数×駆出時間(TTI1) ,動脈収縮期圧×心拍数×駆出時間(TTI2) ,動脈収縮期圧×心拍数(TTI3)として求めた.TTI1域はTTI2を用いると,運動6分から終了時への〓O2増加率/TTI増加率値はI群とIIおよびIII群との間にそれぞれP<0.005で有意差があり, I群とIII群は増加率比1.0を境にoverlapなく分離された.しかしTTI3を用いると,有意差はみられるがoverlap多く,分離不能であつた.また,運動4〜6分および最終2分間に得られたexercise factorの平均値は, I群で有意の変動なく, II群では正常下限値への低下, III群では著明な低下(p<0.005)がみられた.以上は,運動中STが安静時レベルから0.5mm以上低下するときには冠循環のみならず体循環ともに調節破綻をきたすことを指示するものであり,また運動6分から終了時への〓O2増加率/TTI1或はTTI2増加率値は,ジギタリス投与例や種々の心室内伝導障害のある症例でさえも心筋虚血の有無を判定する有用な指標となることを示唆する.
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