発作性頻拍症の発生機序にかんする研究
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概要
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従来より,発作性頻拍症は精神的緊張により惹起されやすい事は良く知られた事実であるが,その真の発生機序については現在のところ明らかにされていない.それ故に,神経性因子,とくに交感神経緊張状態が発作性頻拍症の発生,および,その維持機構に,如何なる影響を及ぼすかについて検討した.まず発作性頻拍症の患者の大部分が交感神経緊張状態に頻拍発作が起こりやすい事実より, epinephrine (6γ/kg)の筋注による誘発試験を20例の発作性上室性頻拍症の既往を有する患者に試みたところ,11例に頻拍発作を誘発し得た.臨床例,また実験結果でも心房性および心室性期外収縮がtriggerとなつて発作性頻拍が発生する事より,発作性頻拍症の発生には,1)発作性頻拍の発生のtriggerとなる期外収縮が惹起する事,2)一旦発生した頻拍を持続させる維持機構が存在する事の二つの条件が必要不可欠である.臨床例,および動物実験で検討した結果,交感神経緊張状態は発作性頻拍症の発生のtriggerとしてのみならず,その維持機構にも重大な影響を及ぼす事が判明した.
- 社団法人 日本内科学会の論文