非呼吸性肺機能にかんする研究とくに肺組織の蛋白合成系について
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概要
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肺はその主機能であるガス交換以外に, いわゆる非呼吸性肺機能を有することが知られている. この非呼吸性肺機能の重要な部分をしめる代謝機能のうち, 肺の代謝に関与する酵素の合成, 抗体産生, 分泌, 吸収などにかんする生化学的解明の基礎となる蛋白合成系についての検討は, ほとんど行なわれていない. 著者はこの点を正常ならびに肝障害ラットを用い, in vivoとin vitroでの放射性アミノ酸の蛋白へのとりこみを中心として, 肺と他臓器, とくに肝の蛋白合成系との差異を実験的に比較検討した. in vivoでの14C-leucineの肺組織蛋白へのとりこみは, 肝のそれより低値ではあるが, 肺でも短時間でラベルされる蛋白の存在を確認しえた. 蛋白の比放射活性は, 14C-leucine注射後経時的に肺と肝とでは明らかに異なるpatternを示した. CCl4による急性障害肝では, 蛋白合成能は明らかに低下するが, このさい, 肺の蛋白合成系に及ぼす影響はみとめられなかつた. さらに, in vitroでの肺と肝との蛋白合成系を比較した結果, 両者の差異の一部は, microsomeの機能に由来することおよび蛋白合成に関与する酵素系に著明な差異があることを知りえた. また, 肺のmicrosomeはかなり大きい蛋白合成の予備能を有する事実をも明らかにしえたと考える.
- 社団法人 日本内科学会の論文