動脈硬化症にかんする研究 : リポ蛋白を中心とした推計学的考察ならびに高比重リポ蛋白のanti-atherogenesityについて
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概要
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動脈硬化進展におけるβリポ蛋白(超低比重+低比重リポ蛋白)およびαリポ蛋白(高比重リポ蛋白)のatherogenesityについて,疫学的な面およびin vitroにおける動脈壁へのリポ蛋白の取込み,動脈壁からの放出の面より検索した.疫学的研究においては, 40才以上の男子健常例,高血圧症例,脳血栓例,虚血性心疾患例に分け超遠心法により超低比重リポ蛋白,低比重リポ蛋白を測定した.脳血栓例,虚血性心疾患例においては健常例に比べ超低比重リポ蛋白,低比重リポ蛋白の両者共に高い値がみとめられた.健常例と動脈硬化症例に分けて高比重リポ蛋白を測定したところ,高脂血症の有無にかかわらず動脈硬化症例においては高比重リポ蛋白が低い値を示した. in vitroにおける研究では,動脈壁に対して,αリポ蛋白は,βリポ蛋白に比べて6倍も放出が多い.αリポ蛋白はβリポ蛋白の動脈壁に対する取込みを抑制し,放出を促進する成績を得た.その結果,βリポ蛋白にはatherogenesityが存在するが,αリポ蛋白には,むしろ動脈壁に対するβリポ蛋白の取込みの抑制,放出の促進というanti-atherogenicな作用が存在する.
- 社団法人 日本内科学会の論文