感染症における好中球アルカリならびに酸フォスファターゼの組織化学的研究
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概要
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感染症患者における末梢血好中球アルカリおよび酸フォスファターゼ(以下それぞれN-Ap, N-Acp)の態度を知る目的で組織化学的研究を行なつた.また家兎に溶連菌死菌,腸炎ビブリオ死菌を静注して偽好酸球のアルカリおよび酸フォスファターゼ(以上N-Ap, N-Acp)を経時的に観察した. N-Ap染色は朝長法, N-Acpは鈴木の方法に準じて行なった. N-Apは急性感染症ではその種類にかかわらず高値を示した.肺結核では軽症な場合N-Apは低値を,湿性胸膜炎でも低値を示した.赤痢有症者では高値を,保菌者では正常値をとつた.ビールス感染症では低値であつた. N-Acpでは一般細菌感染症,肺結核,ビールス感染症それぞれにおいて健康人との有意差は認められず,重症例で軽度の上昇を示すものもあつた.N-ApとN-Acpの間には相関は認められなかつた.家兎で死菌静注数時間後に起こる白血球増加時にはN-APは増加せず,かえつて4,5日後に高値を示した.N-Acpは一定の傾向を示さなかつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文