ガスクロマトグラフィーによる肺胞気中アセトン定量法の検討とその臨床応用
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概要
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呼気中アセトンをガスクロマトグラフィーにより測定する際の問題点について検討し,独自の測定法を用いてその実用性を評価したが,感度,迅速性および再現性ともに満足すべき結果が得られた.その定量には精度の高い標準ガスを要した.著者の方法による健常者の早朝空腹時における呼出肺胞気中アセトン濃度は1.89±0.76(S. D.)μ/L(n=2A)であり,糖尿病患者では有意の増加を示した.食餌,運動などの因子がアセトンに対して著明な影響を与えることを認めたので,ヒトにMCTを与えてケトーシスのモデルを作り検討を加えた.健常者にMCT15gを与えると肺胞気中アセトンは平均3.5時間後に最大値7.89±1.95(S. D.)μg/L(n=10)に達する増加を示した.しかしMCTによるアセトンの増加量は糖尿病患者で有意の高値を示さなかつた.呼気中アセトンと尿中アセトン体は必ずしも平行せず,肝のアセトン体産生を検索する上で呼気は理論的にも臨床的にも適切な試料と考えられた.
- 社団法人 日本内科学会の論文