脳血管障害における血管拡張薬の脳循環に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Hypercapnia, hypoxemiaにおける脳血管拡張薬の脳循環代謝への影響を各種中枢神経疾患および高血圧症患者41例,健康青年男子5例を対象に検討した.5%CO2,10%O2,5%CO2+10%02吸入時の脳循環代謝を塩酸パパベリン(塩パパ)60mg静脈内投与前後で,N2O法により測定した.血液ガスはVan Slyke-Neil1法およびRadiometer-microgasanalyser TFC-1型により測定した.結果:(1)5%CO2吸入,塩パパ投与により脳血流量は増加するが,塩パパ投与後5%CO2吸入時に最高値を示し,脳血流正常群の方が減少群に比べ脳血管反応性は良好であつた.(2)塩パパ投与後10%O2吸入時と10%O2吸入単独時との間に有意な差異はなかつた.(3)塩パパ投与後5%CO2+10%O2吸入では,5%CO2+10%O2吸入単独の時より脳血流量の増加は大であつた。(4)諸疾患患者17例にcyclandelate 150mg, cinnarizine 40mg, raubasin 20mgを静脈内投与したが,いずれも脳循環に影響を与えなかつた.結論: hypercapniaの際にも塩パパは脳血管拡張作用を有するが,脳循環正常群の方が反応性は良好であつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文