腎濃縮機構にかんする基礎的および臨床的研究
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概要
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腎濃縮機構にかんしては従来種々な面から検討されて来た.その中で遠位側水再吸収量TCH2Oに極限が存在するか否か,またこのTCH2OはNa負荷した際に如何なる態度を示すかは,水・Naの輸送面より重要な問題である.著者はこれらの問題にかんし,尿崩症を中心に臨床的,基礎的研究を試みた.10% mannitol十pitressinを点滴静注する条件下で遠位側水再吸収極量TCmH2Oは非尿崩症例,尿崩症例でそれぞれ平均5.9ml/min,1.5m1/minで尿崩症例に有意なる減少を示した.さらに2.0〜3.0%NaCl液によるNa負荷を行なつた際の腎機能の変化は,TCH2O/GFRは上昇を示すが,Na再吸収率,〔U/P〕omsはむしろ減少の傾向を示した.近位尿細管でのNa再吸収はNa負荷により抑制され, Henle-loop上行脚へのNaの負荷量を増大し, TCH2Oの増加を促すものと推定させるが,一方〔U/P〕osmの減少は滲透圧利尿によるwashing outの機序の関与を推定させ,得られたTCH2Oは真のTCH2Oを示さず,見かけ上のTCH2Oを示すに過ぎないと考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文