慢性一次性頭痛症の臨床的脳波学的研究 : 律動異常性頭痛症を主として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は律動異常性頭痛症の存在と意義を確立することを目的とし,慢性一次性頭痛症の臨床像と脳波像との関係を検索し,その病態生理機構を考察した.発作性頭痛症382例の61%に脳波異常がみられ,その波形は発作性徐波律動異常と6, 7または14c/s陽性棘波が主であつた.この発作症の脳波正常群と異常群との臨床像を比較すると,正常群では,初発平均年令25.7才,頭痛は片側性,眼症状を伴うもの,遺伝素因が多く,血管調整薬が有効(81%)であり,一方異常群では,初発平均年令19.9才と若く,頭痛の片側性少なく,眩暈を伴うもの,脳疾患の既往を有するものが多く(42%),抗てんかん剤が有効(82%)であつた.なお発作中の異常脳波所見は増悪した.以上より脳波異常を有する発作性頭痛症は,脳波正常群のものと発生機序を異にし,脳幹調節障害性自律神経発作症と同一の病態生理機構を有するものと考えた.また別に脳波異常を伴う持続性頭痛91例についても同様に検索したが,その臨床像,脳波像ともに発作性頭痛の脳波異常群と本質的な差は認められなかつた.従つて,脳波異常を有する慢性一次性頭痛症は,発作性,持続性ともに律動異常性頭痛症として一括でき,実際治療に際しては,慢性一次性頭痛は脳波検査を第一義とするべきであることを立証した.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
関連論文
- 22)頭部外傷後後遺症の脳波学的・臨床心理学的研究(外科系(I-5))(第11回日本精神身体医学会総会)
- 慢性一次性頭痛症の臨床的脳波学的研究 : 律動異常性頭痛症を主として
- 心拡大,高度浮腫を伴った急性多発性神経炎