成人リウマチ熱の研究
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概要
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リウマチ性心疾患(RHD)の管理,予防法は,小児期を除き世界でも確立されていない.そこで成人活動性リウマチ熱(リ熱)の臨床的研究と非活動性リ熱の7年間にわたる追跡調査を行なつた.年令増加とともに関節炎の頻度が多くなるが,成人にも活動性心炎が約半数に証明され,初回発症の心炎例もあつた.また成人にないとされている輪状紅斑は31%に,皮下結節も1例であるがみられ,その臨床的意義について検討した.次に心炎には急性の発症の型の他に軽微な全身性炎症反応で発症するもののあることが分かり,亜急性発症心炎と呼んだ.これは自他覚所見に乏しく,放置される結果,弁膜症の進展に重要な影響を与えるものと推定された.それはペニシリン(Pc)投与がレンサ球菌感染率を低下させ,同時にこの亜急性発症心炎も含めた心炎の再発と弁膜症の進展を予防したからである.再発の頻度,回数が心炎例に多かつたことからも,小児よりひきつづき成人になつても長期間にわたるRHDのPc予防は必要であると結論した.
- 社団法人 日本内科学会の論文