全身性エリテマトーデスにおけるDNase I活性の研究
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概要
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SLEに見出される多くの抗体の中で,抗DNA抗体はその特異性および臨床的意義において,他の結合織疾患におけるものと異なることに着目し,その抗体発現機序としてSLEにDNA代謝異常を想定した.その点を臨床研究,動物ならびに試験管内実験で, DNase I活性の画より研究した.肝炎,膵炎,甲状腺機能亢進症,心筋硬塞症, ANF (+) DNA抗体(一)の進行性全身性硬化症,ならびに甲状腺炎では血清DNase I活性は亢進していたが,いずれも臨床症状改善と共に正常化した.しかるに, SLEでは臨床症状の激しい活動期にかえつてDNase I活性が低く,症状の軽快とともに一たん上昇する態度をとり, DNA抗体とは逆の関係を示した.次に,家兎にてDNAを耳静脈および腹腔内に負荷すると血清DNase I活性は一定時間後上昇し,その際ピークは腹腔内投与で遅れて出現した.また,試験管内実験でdrug induced lupusを起こすhydralazineなどの薬物はDNase I活性を阻害することを証明した.以上より, DNase IはDNA抗体産生,さらにはSLE発症に重要な役割を果していることを認めた.
- 社団法人 日本内科学会の論文